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……………………。
……昨夜は、お楽しみでしたね。
えぇ、50Gについては先日お支払いいただいたのですが。
もうちょっと、お支払いいただけると。
えぇ、2000000000000Gほどやらかしてしまいましたので。
これから、挽回しないといけません。
あと──連泊されますでしょう、お客様。
え、旅に?
こんなお祭りの炎天下の中ですか?
いいえ、グールが蔓延るこの中を。
歩いていたら、あっと言う間に謁見の間行きですよ。
……え、そのためにぼっちで旅してる?
お客様、だからそんな怖いお面を?
そうですかそうですか。
(間違ってもパーティに加わらないようにせんと、狂ったコイツに斬られるわい……)
で、お客様。
お客様は、昨夜までどうお楽しみでしたか?
正確には。
戌の刻になるまで、かのお祭りをどう見ておいでで?
そして、戌の刻からは。
いかがでしたでしょうか?──何か、変わりましたでしょうか?
……はぁ、わたしですかぁ。
わたしは、いつも通りですよ。
こうして、宿屋をやっていると。
色んなお客様がやってきます。
粛々と営業し。
時たまこのように、旅のかたとの談笑に興ずる。
そして──いつもほぅと息を吐くのです。
あぁ、いつも通りの世界だ──いつも通りか、と。
はてなインターネット文学賞「わたしとインターネット」