ある朝、出勤してみたら。
同僚に「麦茶を作って冷蔵庫に入れておいた」と言われたので。
ありがたく頂戴し。
味を見て『もしかしてあのメーカーの麦茶ですか』と訊いたところ。
図星だったらしく。
「なんで分かるんですか」と言われましたとさ。
……いや、風味で。
メーカーによって違いますよね、うん。
──思えば、同居人からも。
汁物の味見を任されますっけ。
醤油をひと差ししたほうがいいとか。
胡椒を全体に散らすくらいの量を入れるといいとか。
まぁ、あれこれ言う係なのですが。
んー……確かに味覚、鋭いんですけどね。
麦茶をご馳走になったとき。
舌全体に纏うような渋味と鼻腔を擽る芳香があったので。
そのメーカーのだと、すんなり分かったのですが。
他のかた、分からないモノなんだろうか……と。
分かっているだけで、敢えて言わないだけなんじゃないのかなぁと。
違うのかなぁ、間違うリスクが大きいと見做せば言わないと思うのですけども。
……え、僕?
間違ってもいいじゃないですか、と言うタイプです──きひひっ