以前に読んだ小説を。
再度、読むことがあります。
当時、深いところまで読み込めていなかったモノも多く。
新たな発見もあって、面白いと思いますし。
──ですが、そうですねぇ。
当時、分からなかったと言うことは。
そのときのほうが、純真無垢だったからだろうな。
──と、思うことも屢々あるのです。
例えば……近親相姦を指す暗喩があったとして。
当時はそんなのを読んでも「あぁ一緒に種いっぱいの柘榴を食べたんだ」としか思えなかったのに。
いま、読んでみたら。
その際どさに驚いてしまったり、と。
なんでしょう、『汚れっちまった悲しみに』と言うヤツですよ。
「青鯖が空に浮かんだような顔」になってしまうのですよ。
……まぁ、中也は未読なんですけどねっ
あー、読みたい本が増えていく……
……んー、確かに。
見えなかった世界が見えていくと言うのは、いいモノですよ。
気にも留めなかった物事を。
我が事に捉えられると言うのは、それだけで面白いモノです。
ですが──今思うと。
分からないときは分からないときで面白かったし。
分かってしまっているこれからでは。
もう、分からないときの感覚を味わえないんだなぁ──と思うと。
黒目しかない犬の目を見つめているときのような。
茫漠とした気分に、なってくるのでした。
──おや、明日はお休みでしたか。
少しだけ、ゆったりと、してみるとしましょう。