夜行
昔から、知りたいと言う欲が強くて。
逆に、知らないことには恐怖を覚えるタチでした。
なので、暗い場所には自分の知らない物事が潜んでいて。
いつか自身を生きたまま蝕むのだろう──と、思う幼少期を過ごしておりました。
じゃあ、今はどうかと言えば。
そんなのは、知ろうとしてしまえば解決してしまうことが分かっているので。
覗いて、触れて。
捌いて、嗅いで。
こちらから、貪ってしまえばいい。
──くらいに、思っています。
……と、言いますか。
昔はあれほど嫌悪の対象だった暗闇が。
今では、とてもとても。
愛おしい対象に、変わっているのです。
──嗚呼、僕はいつから。
あちら側に、回っていたのでしょうね。