──こんな気分です。
お付き合いください。
どんな気分かと言うと。
昔を思い出したい気分です。
どんな昔を思い出したい気分かと言うと。
ちょっと昔の話──僕が幼稚園児の頃の話です。
……え、初恋の話?
そんな話が聞きたいです?
今回は、置いておきたいです。
確かに僕の初恋は5歳なのでドンピシャですが←
……こほん。
これは、誰にも言っていない話です。
なので、少しだけ暈します。
それを承知していただきたいです──えっと。
その頃、とても恐いバスの運転手さんがいました。
実際はフレンドリーなんですけども、どうにも圧がすごかったのです。
クレヨンしんちゃんの組長みたいでした。
……あれ、園長でしたっけ?──この際どちらでもいいですね。
園長みたいな人。
……あれ、ちゃんと園長みたいな人と認識してんじゃん、まぁいいか←
で、そのバスの運転手さんなんですけども。
複数人の子に絡まれているときに。
容赦なく、電気アンマをし始めたんですね。
あぁ、あのときのその子たちの絶叫と言ったらなんとやら。
痛いいたいって、ギャーギャー叫ぶのですよ。
まぁ、そうなんでしょうなぁって思いつつ。
僕もされたこと、あるんですよ。
あれはもう、痛くて仕方なかったのですが。
他の子が、あまりにも「痛い」と叫ぶので。
捻くれ者の僕はなんと言ったかと言うとそのとき──気持ちいい、と言ったんですよね。
そのときの運転手さんの表情が、ぐにゃあって歪んだのが。
ちょっとだけ……んー、ちょこっとだけ。
印象的だったなぁって。
顔が殆ど思い出せないのに──そのときの表情にどんな感想を抱いたかだけは覚えているのに、不思議なモノです。
えぇ、あのとき僕が感じたのは。
紛うことなき嫌悪でした。
えぇ、【古き良き時代】だったのでしょう。
ただ最近、思い出すのです──あぁ、昔そんなことされたなぁと。