──えっと。
どの場に行っても。
わたしは褒められるんですよね。
見た目、ちょいと幼いですし。
……いや、実年齢通りに見られないと言いますか。
だからだと思いたいんですが。
よく、褒められます。
特に言われ慣れているのは。
「頭いいね」とか。
「天才だ」とか。
「さすが」とか。
因みに、この褒め言葉についてどう思っているかと言うと。
言われ飽きている、と言うほど。
性根が腐っているわけではないのですけども。
あんまり、好きじゃないんです。
たぶんそれは──腐しているわけではなくとも。
捻くれているから、なんでしょうね。
そこから──他者よりも、と言う枕詞が透けて見えるのですよ。
誰かよりも頭がいい。
誰かよりも天才(?)とか。
じゃあ、なぜ誰かよりも頭がよく。
誰かよりも天才かと言われたときに。
そこに、『誰よりもやるべきことをやってきているから』
と言う意味を包含できる人が、どれだけいるモノだろうかと思うと。
本当に、少ないからねぇ……と。
経験的に、分かっているので。
あんまり、好きではないんですよね。
能力を褒められてもなぁと、思うのですよ。
それが自分にとって、当たり前のことなんですから。
「あなた人間なんだすごい」と言われるレベルのように感じるんです。
人間だからこそ行なっている過程ではなく。
それにより成立している結果を見て褒められても。
ピンとこねぇなぁと。
思うのは、恐らく身勝手なことなのでしょう──なので。
わたしは毎度。
誠に勝手ながら──微笑んで、答えるのです。
「ありがとう、嬉しい」と。
嗚呼──きっと、わたしのお腹の中はサヨリのように真っ黒だ。