誰かの首に剃刀が刺さっているとして。
それを抜くか否か。
有名な逸話ですが。
皆さんは、どうでしょう。
相手に依るでしょうか。
あの話では、身内もいいトコでしたからね。
あと、時代も時代でしたし。
経済状態を鑑みても。
抜くしかあるまい、と言うところでしたけども。
じゃあ、現代のように。
突き刺さったまま適切な処置を施せば助かる見込みがあるとして。
抜くかどうか、と言われると。
判断に迷うんじゃないでしょうか──相手が身内でも、身内じゃなくても。
なのに、誰かが悩みを打ち明けたときに。
その誰かの背景を考えず。
そして、その悩みが何によって引き起こされているかを考慮せず。
この悩みだけをなくして解決しようとするかたが多いことについて。
けっこう、不思議なのですよ。
なんででしょうね、生死に関わらないからでしょうか?──いいえ。
生きるためにその悩みを抱えていて。
悩みだけをなくしてしまえばあっという間にバランスを崩しその人そのモノじゃいられなくなる、なんてことも。
大いに、あり得るわけです。
「そこまで考えないよ」と言われそうですけども。
そもそもそう言った事柄って、非常にセンシティブなことであって。
簡単に口出ししたり、やってやろうとしてなんとかできる問題じゃないのに。
なぜ、舐めてかかるかたが多いのでしょう。
不思議でなりません──えぇ、ですので。
それ、本当に引っこ抜くんですか?
本人の意思は如何程に?──そして。
その後、本人が生き続けるにあたり。
そのやりかたは、本人の望む魂の尊厳を確保しうる行いでしょうか?
──何とぞ、後悔のなき人生を。