koihaouka’s blog

ごゆるりと、ゆるゆるなさいませ。

もう昔の話です

この日になると。

大昔に、都内で間違えて声をかけてしまった子を思い出します。

 

あの日は、不登校時代から付き合いのあった友人2人と。

オフ会をする予定で。

 

はるばる、上京していたのですが。

そのうちの1人を見つけた気がして、声をかけたんですよね。

 

「◯◯ですか?」と訊くと。

こくりと頷くモノで。

 

あー、この子か。

でも特徴と合わないところあるなぁー……って思いながら。

 

その子と、テクテク歩き始めまして。

どこ行きましょうかー、大阪から来て脚疲れてないかな、カフェにでも入りましょっかー……なんて話をしていたのですが。

 

相手は、こっくりと頷いたり。

時折、遠くを見ている感じで。

 

それもなんだか、変だったなぁと思っていました。

なぜなら僕の知っている友人と言うのは。

 

メッセージを送ると。

即レスしてくるような人だったので。

 

こんな返答が遅い子だとは、思えなかったのです。

もしかして……と思っていたら。

 

携帯が震えまして。

開いたら──こんなメッセージが。

 

「どこ(笑)」

 

……えぇ、不覚でした。

違う子を拉致ってしまったのです()

 

なので、もう土下座でもしかねない勢いで謝っておきました。

誰かとの待ち合わせじゃなかったですか、すみません元の場所に戻りましょう……と。

 

で、そこに着いてから。

何か奢りましょうか、喉渇いていません?──と訊いてみたら。

 

手を、そっと肩くらいまで上げて。

「ばいばい……ばいばい……」と、言うわけです。

 

なので、咄嗟にこんなことを言っていました。

「もし僕みたいな変な人が出てきて無理やり何かされそうになったら、通報するんですよ」と。

 

そうして、僕も手を振って。

本当に待ち合わせしている友人と、会ったのでした。

 

因みに、めちゃくちゃ揶揄われました。

「何してるん?」「この人畜無害」「お人好しやん、イメージ通り」なんて←

 

そして、もう1人の友人とも合流して。

カラオケをしたり、ラーメンを啜ったり、ゲームセンターに入ったりして。

 

色々と、満喫したのでした。

そうして、このときも思ったのです──あの子は、どうしているんだろうって。

 

もう会うことはないだろうなって。

えぇ、思いましたよ、思いましたとも。

 

会っちゃったんですけどねっ!

次の日、某駅のホームで電車を待っていたら!

 

後ろから、袖を「ちょこん」と掴まれて。

振り向いたらその子で、びっくりしましたよ。

 

なので、いちおう。

「あ、昨日はどうも。元気でしたか?」と訊いたのですが……え、それくらいしか切り返しの台詞を思いつかなかったのです()

 

すると、その子。

急に、涙を流し始めるのです。

 

どうして……と、呟きながら。

さぁ、どうしてなんでしょう──今も僕は、あの子がなんで泣いたのか。

 

「どうして」と呟いたのか、分からないままなのです。

すぐに電車が来てしまいましたし。

 

あのとき、何を言うべきだったのか。

たまに、考えるのです──あのときの僕は。

 

ただ、「行かないと。元気でね」としか言えなかったので。

──そうしたら。

 

その子はまた。

肩まで手を上げて──こちらに手を振るのです。

 

僕も、電車の窓から覗いて手を振りました。

唇が予想通りの動きをしているのを確認しながら。

 

──あの子はいま。

どこで、どうしていることやら。