荷物と言うのは。
ずっと持ち歩いていると、身体の一部のようになっていて。
手ぶらで歩いたりすると。
なんだか、自分自身が歩いている気がしなくなってきます。
これ、とても不思議なモノです。
荷物を持って、生まれたわけではないのに。
今は、荷物を持っていなければ。
自分が自分として生きている感覚が、乏しくなるのですから。
──えぇ、なので。
幾つか、背負い込んでいるモノがあって。
それを、下そうとする人がいるとすれば。
全力でわたしは断るんだろうなぁと思うのです。
例えそのせいで。
歩けなくなろうが、潰されてしまおうが──です。
愚かに見えるやもしれません。
合理的に物事を考えられない馬鹿者だと、思われるかもしれません。
けれども──それは彼らにとって合理的な他人事だから理に適っていることに見えるだけであって。
当の本人にとって自身のやりたいように動くことが自身の尊厳を貫くことであるならば。
他者の意見に耳を傾け、そのとおりに動かされては。
自身を蔑ろにし続けることよりも。
よほどマシで合理的な考えを以て動いている、と。
言えるのではないでしょうか──例えそのせいで死のうとも、です。
……まぁ、これ。
そのせいで周囲が迷惑しているのであれば間違いなく止めたほうがいいんですけどね。
だって、周囲も個人の集合なわけですし。
各々にも各々の尊厳があるわけですから。
それを蔑ろにするくらいなら。
止めることを選ぶと言うのも──えぇ、いいんじゃないでしょうか。
例えそのせいで。
戦争になろうとも──です。
……嗚呼、本当に。
百害あって一利なしなモノって、存在するんですかね。