歳を経るごとに。
物欲がなくなっているので。
卒業アルバムも、捨ててしまおう。
なんて、考えていたのですが。
ふと、母が自身のを取り出して。
眺めていたなぁと、思い出したので。
「要らなきゃ捨てるけど、どうする?」と訊いてみたら。
『欲しい』と言うことでしたので。
じゃあ、と。
幼稚園〜中学校までのアルバムを、渡したんですよね。
これでだいぶスッキリしたなぁと思い。
そのまま自室に戻る──筈でした。
母から、急に呼び止められまして。
なんだと思って振り向くと。
幼稚園のアルバムに、入ってたんです。
昔、伯父と伯母からいただいたお金が。
えぇ、旧紙幣でした。
当時の一万円札って、カラフルだったんですよね。
全体的に赤みがあって、緑色が際立つような。
今、主流の一万円札を使い始めたときには。
「あんまり変わらねぇなぁ」と思ったモノでしたが。
改めて見てみると──カラフルだなぁと。
生きてるように感じました。
で、そう言うのがあまり好みじゃなかったので。
母に「あげる」と伝えちゃいましたが←
然るべき場所で交換すれば、高くなるかもしれないですし。
少なくとも、「ちょっとした臨時収入」と言えるくらいのモノにはなる金額でしたが。
わたしにとって、こう言う棚牡丹な代物って。
自分のモノでは、ないですし。
母のほうが、お金を生活に必要なところに回せるので。
与えるが吉だと、思ったのです。
それに、母が『欲しい』と言ったからこそ。
その紙幣が活きるんですから。
殺そうとしていたわたしよりも。
貰うに相応しい──と、思ったんです。
これが、正しい選択。
わたしにとっての──最善でした。
……え、お金への執着?
ないんですよ、それが──ですので。
FP2級、受けることにしたんです。
せっかくだから、活かして生きるためにも──ってね。